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腐りかけの豆が、何ヶ月にいっぺん小説を吐き出す場。 主にtwitterに生息。 せめて2ヶ月にいっぺんくらいの更新に持っていきたい。
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鬱という字ほど、鬱な字はない。

とにかく、画数が多すぎる。
パソコンで打つと、ぐちゃぐちゃして、本当のパーツなんか分かりゃしない。
もう、ほとんど輪郭だけで、鬱と言う字を判断している。

こんな字、うつ病の人が見たら、もっと鬱になるに決まってる。というか、鬱になる。
何でそんなにきっぱりと言えるかというと、私もとうとう、その仲間入りをしてしまったからだった。

こんなに憂鬱で、悲しい事は無かった。
ちょっと気を抜けば、所構わず涙が出てくる。
電車の中、赤ん坊に笑いかけられた時。
授業中、ふと悲しい事を思い出して。


私は鬱なんだと認識したのは、つい昨日の事だ。
大好きな彼に、真剣な顔で、手を握られて、
「病院に行った方がいいよ。そんなに思い詰めてしまっているなら」
そう言われて、ようやく認める事が出来た。

しばらく、彼とは会わない事になった。
私が成長するまで。
私が、笑顔であの人に会えるまで。
彼は、私を待ってくれている。
それが分かっていても、会えない期間は、寂しい。

だから、思い出すたびに、何度も涙が出た。

朝起きたとき、大好きな授業があったのに、起きられなくて、やる気もしなくて、何度も行こうと思ったけれど、結局休んで。それが情けなくて、あと寂しくて、何度も何度も、泣いた。
それじゃいけないのに。踏み出さなきゃ行けないのに。進まなきゃ行けないのに。

どこにも行きたくない。

でも、行きたい。

何もしたくない。

たくさんたくさん、したいことがある。

心の矛盾は、やまない。


うじうじずっと考え事。
玄関を出るのも、辛かった。
それでも、出さなきゃならない課題のため、遅刻しながらも、学校へ向かった。
その足取りは、いつもよりも重い。
体はだるく、何より心が、動かない。

やっとこさ、電車に乗り込んで、座席に座った。
ずっと、泣いてはやんで、を繰り返している私を、電車は優しく、乗り換えの駅につれていった。
また座席に座って、そこから三駅。

悲しくて、寂しくて、何もしたくなくて、でも本当はいっぱいやりたい事があって、辛くて……
そういう気持ちに捕われ、押しつぶされそうになりながら、あと少しで目的の駅に着くというところ。
膝の上に置いた鞄の、その下に潜り込んでいる手の隙間から、何か黒いものが、私の手を伝って這い出てきた。
最初は驚いて、なんだろうと思ってまじまじと見た。
まさか、ゴキブリか?それにしては、動きが遅い……
それは、体長1センチくらいの、黄金虫のような姿の真っ黒な虫だった。
いったいどっから来て、いつから私にくっついてたんだ、お前は?
肘の裏にむかってのそのそ歩くその虫を手のひらにのせた時、アナウンスがかかった。

『次は、久美遊園地駅、久美遊園地駅……』

「わわっ、やばっ」

私はあわてて降りる準備をする。
その虫は、我関せずとばかりに、私の手の上を歩いている。
仕方がない、電車の中において行く訳にもいかないからと、手で虫をつぶさないように包んで、出口へ向かう。
虫が私の手の隙間からなんとか出ようと潜り込もうとする。案外力強い。むしろ、噛まれているのかと思うくらい、痛い。
驚いてうわっと声を上げれば、周りの乗客が、なんだこいつはとばかりに見てくる。
私のせいじゃない、と思いつつも、すみませんと謝りながら、扉が開くのを待った。
やっとこさ降りて、ほっと一息。
私は、そっと、包んでいた手を開いた。


虫はちょっと歩き回って、一瞬止まって、こっちを見た。
そして、ふわり、と飛びたった。

そのとき。

私の何かが、虫と一緒に、すーっと飛び去って行った気がした。


それから、足の重みも、心の重みも、ずいぶんと軽くなった気がした。
あれが神様の使いなんて、そんな安っぽい事はいたくないが、あの真っ黒な体に、私の真っ黒な気持ちもくっつけて去っていってくれたんじゃないかと、思わずにはいられなかった。


世界は、厳しい。
いろいろなものが、私の心を切り刻んでゆく。
心ない言葉。人との関係。縛り付けるだけのシステム。自然の猛威。
けれど、私を救ってくれるのもまた、世界なのだ。
人の優しさ。仲間が作ってくれる居場所。私を守ってくれる社会。自然の恵み。
なにより……いつでも変わらず愛してくれる、大切な人。

それを思い出せた時、私はとても、幸せな気分になれる。

これだから……生きるのは、やめられない。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
何だか長くなってしまいました。
いつもの不思議話と違っちゃったな……

これも、ほぼ本当の話です。
実際、鬱ではないはずです。が、波があるのは事実で、なかなか思うように感情をコントロールできない時があります。
そんなときも、ふとした何かで救われる事って、あるものだから、やっぱりいつでも目と心はいっぱいに開いておいて、たくさんの事を吸収して、すこしずつ、動じない強さをつけていけたら……きっといろんな人に認めてもらえて、私も認める事が出来そう、って、思えるようになっただけでも、ずいぶんな進歩だなあ。

やってみよう。いろんなこと。





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プロフィール
HN:
まめがら茶
性別:
女性
自己紹介:
色んな世界の物語を書いています。
大体は異世界・現代ファンタジー。


好きな小説は、
上橋菜穂子さんの『狐笛のかなた』、
荻原規子さんの『白鳥異伝』、
香月日輪さんの、大江戸妖怪かわら版シリーズ。
和を感じられるお話が好きです。

それから、アレックス・シアラーさんの『チョコレート・アンダーグラウンド』も、何度か読み返しました。

佐竹美穂さんの挿絵が小さい頃から好きだったのですが、
小学一年生の時に上橋さんの『虚空の旅人』と一緒に
分厚い上中下巻の『封神演義』を読んだのは無謀だったかな……

絵は、一番好きなのはアルフォンス・ミュシャ、特に『黄道十二宮』です。

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