暑い。
退屈しのぎに、からころと音を立て、氷をかき回す。
コップの中のオレンジジュースはとっくに飲み干てしまい、融けた氷水と底に残ったジュースが混ざって濁った液体をひたすら啜るほど、喉が渇いていた。
何だってこんな暑い日に、興味のないロボットアニメの買い物に付き合わされなければならないのか。
おごってくれるというからついてきたが、この重労働に対しオレンジジュース一杯というのは、割に合わないと言う事に気づいた。
じろりと目の前でアニメについて語っている先輩をにらんだが、熱弁に夢中で気づいていない。
いっそ、ぶん殴ろうか。いやいや、大事なカモだ。まだ手放す訳にはいかん。
……すべては暑さのせいである。
しかし、本当に暑い。水が飲みたい。
給水器はすぐそこにあるが、この熱弁から立って逃れることは出来なさそうだ。
私はストローをくわえた。
仕方がない。氷を解かして飲もう。
氷に向かって息を吹きかけると、まるでモグラが必死に掘り進めているかのように、一点に穴があいた。
吹きかけるたびに、穴は深くほり下がり、そして一番上の氷の真ん中に、穴が貫通した。
氷は五つ重なってコップの中に入っている。
このまま、一番下まで貫通できないだろうか。
いつしか私は、飲み水の確保よりも、このゲームに躍起になっていた。
二つ、三つ目までは簡単に穴をあける事が出来た。
四つ目では、氷がだいぶ溶けかかっていて、危うく崩れるところだった。
難易度が高い方が、ゲームは燃えると言うものだ。
闘志を燃やす私に対し、先輩は今度は萌えについて熱く語りだした。
私が話を聞いていない事には気づいていないようだ。放っておこう。
ようやく、残り一つ。
私は鼻息も荒く、氷を見つめた。
実際、氷を四つ貫通させた私は、酸欠になりかけていた。
私が酸欠で倒れるのが早いか、氷が貫通するのが早いか。
俄然、やる気がわいてきた。
ストローに吹き込む吐息も、熱を増す。
あと少し。あと少しで貫通する。
あと少しーー!!
「よっしゃあ!あいた!」
喜びで立ち上がった私は、しかし立ちくらみ、椅子にがたんと逆戻りした。
「な、なんだ?おい、大丈夫か?」
先輩が驚きで目を見開いている。危ない、危うく話を聞いていなかったのがバレるところだった。
しかし、今はそれどころではない。
「み、水ー……」
「しょうがない、持ってきてやるから待ってろ」
ストローを外し、先輩はすっと私のコップを手に取って給水器へと持って行った。
そして、レバーをひねった。
水は、五つの貫通した氷の穴を通り、コップの底にあいた穴から砂時計のように流れ落ちた。
熱すぎたのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
……暑すぎたんだ☆(ぇ
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プロフィール
HN:
まめがら茶
性別:
女性
自己紹介:
色んな世界の物語を書いています。
大体は異世界・現代ファンタジー。
好きな小説は、
上橋菜穂子さんの『狐笛のかなた』、
荻原規子さんの『白鳥異伝』、
香月日輪さんの、大江戸妖怪かわら版シリーズ。
和を感じられるお話が好きです。
それから、アレックス・シアラーさんの『チョコレート・アンダーグラウンド』も、何度か読み返しました。
佐竹美穂さんの挿絵が小さい頃から好きだったのですが、
小学一年生の時に上橋さんの『虚空の旅人』と一緒に
分厚い上中下巻の『封神演義』を読んだのは無謀だったかな……
絵は、一番好きなのはアルフォンス・ミュシャ、特に『黄道十二宮』です。
大体は異世界・現代ファンタジー。
好きな小説は、
上橋菜穂子さんの『狐笛のかなた』、
荻原規子さんの『白鳥異伝』、
香月日輪さんの、大江戸妖怪かわら版シリーズ。
和を感じられるお話が好きです。
それから、アレックス・シアラーさんの『チョコレート・アンダーグラウンド』も、何度か読み返しました。
佐竹美穂さんの挿絵が小さい頃から好きだったのですが、
小学一年生の時に上橋さんの『虚空の旅人』と一緒に
分厚い上中下巻の『封神演義』を読んだのは無謀だったかな……
絵は、一番好きなのはアルフォンス・ミュシャ、特に『黄道十二宮』です。
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